親がヘルパーを嫌がるときの伝え方|拒否する理由は5つ、家事代行と介護保険をどう切り出すか

高齢の親が家事代行を嫌がるときの伝え方|理由別の言い換えと介護保険という選択肢 介護の家事

当ページには広告・アフィリエイトリンクが含まれます

「家事代行を頼んでみたら」と切り出したとたん、親の表情が変わった。そんな経験をした方に向けたページです。嫌がる理由は一つではありません。理由によって、効く言い方も、そもそも家事代行以外の選択肢を出したほうがいい場合も変わります。

親の家に行くたびに、流しに洗い物がたまっている。冷蔵庫の奥に賞味期限の切れたものが増えている。心配になって「家事代行を頼もうか」と言ってみたら、「まだそんな歳じゃない」「他人に家の中を見られたくない」と、思いのほか強い言葉が返ってきた。

このとき多くの方がやってしまうのが、もう一度、もっと丁寧に説明し直すことです。けれど断られた理由がわからないまま説明を重ねても、親からすれば同じ話をされているだけで、かえって身構えられてしまいます。

このページでは嫌がる理由を5つに分け、それぞれに合った伝え方を整理します。あわせて、家事代行が難しくても介護保険の訪問介護なら話が進むことがあるという道についても触れます。

先に料金の目安を知っておきたい方へ

「いくらかかるのか」がわからないままだと、親に切り出す側も言葉に迷いがちです。交通費まで含めた総額で各社を比べています。

家事代行の料金を比べてみる

「1回だけ試してみる」なら、この2社は単発で頼めます。 CaSy(1回だけの利用) ベアーズ(初回お試しプラン)

まず、これは「施設に入れる話」ではないと伝える

家事代行を切り出したときに親が身構える理由として、意外に大きいのが「この話の先に、施設に入れられる話が控えているのではないか」という警戒です。子どもの側にそのつもりがまったくなくても、親のほうは「家のことができなくなったと判断されたら、次は家を出る話になる」と受け取ることがあります。

内閣府が全国の高齢者本人に行った調査では、今住んでいる地域に住み続ける予定が「ある」と答えた人が94.0%、治る見込みのない病気になったときに最期を迎えたい場所として「自宅」を挙げた人が45.8%でした。9割以上が今の場所に住み続けるつもりでいます。

出典:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」問6・問12。

だからこそ「家に住み続けるための話であって、出ていく話ではない」ということを、最初にはっきり言葉にしておく意味があります。言わなくても伝わっているだろう、と思わないほうが安全です。

「ずっとこの家にいてほしいと思ってる。そのために、重たい作業だけ誰かに手伝ってもらうのはどうかな」

結論を先に置くと、そのあとの話が「反論しなければならない話」ではなくなります。

「うちの親は絶対に嫌がる」は、思い込みかもしれない

切り出す前から「どうせ嫌がる」と決めて、話題にすら出していないケースもあります。同じ内閣府の調査で、日常生活の作業が一人ではできなくなったときに同居家族以外で頼れる先を聞いた結果です。

頼れる先(複数回答)割合
別居の家族・親族63.9%
有料のサービスを利用25.6%
近所の人16.2%
友人15.4%
頼れる人はいない11.1%

出典:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」問10(複数回答)。

「有料のサービスを利用」を挙げた人が25.6%。少なくとも、高齢者本人のなかにも「お金を払って外部のサービスを使う」という発想自体は一定数ある、と読める数字です。

ただし、この調査は「家事代行を嫌がった人」を対象にしたものではなく、家事代行の受け入れやすさを直接聞いた設問でもありません。あなたの親御さんが嫌がる理由を説明するデータではない点にご注意ください。

嫌がる理由は5つに分かれる

「嫌がる」とひとくくりにされがちですが、実際には理由がいくつかに分かれます。そして理由が違えば、効く言い方も、避けたほうがいい言い方も変わります。

ここでの5分類は、公的な調査で見える高齢者の意向と、家族がぶつかりやすい断り文句を当サイトで整理したものです。調査票にそのまま存在する分類ではありません。

理由親の口ぶりこの理由のときに効きにくい言い方
1. 他人を家に入れたくない「知らない人が家に来るのは嫌」「安いから」「便利だから」(論点がずれている)
2.「できない人」扱いされたと感じた「まだそんな歳じゃない」「もう無理でしょう」(正面から否定している)
3. お金がもったいない「そんなのにお金をかけなくていい」「お金は気にしないで」(誰が払うかが不明のまま)
4. 散らかった家を見られたくない「片付けてからじゃないと呼べない」「散らかってても大丈夫だよ」(羞恥心を軽く扱っている)
5. そもそも困っていない「別に困ってないよ」「困ってるでしょ」(認識のぶつけ合いになる)

どれか一つとは限りません。2と5が重なっていることも、3と4が同時に効いていることもあります。まずはどの理由が主なのかを、親の言葉から探るところから始めるのが近道です。

理由1|他人を家に入れたくない

この理由のとき、料金や便利さの話をしても響きません。論点は「見知らぬ人が生活空間に入ること」だからです。打ち手は「見知らぬ人」を「見知った人」に変えることに絞られます。

  • 初回は子どもが同席する(親を一人にしない)
  • 作業範囲を水回りなど一部に限定し、寝室や仏間には入らないことを先に決めておく
  • 気に入ったスタッフがいたら、指名や曜日固定ができる事業者かを確認する

「毎週ずっと来てもらう」ではなく「今月だけ試す」という提案なら、受け入れやすくなることがあります。

理由2|「できない人」扱いされたと感じた

これがいちばん強く出やすい理由です。家事は多くの高齢者にとって、長年こなしてきた自分の役割そのものだからです。内閣府の調査では、日常生活で家族・知人から頼られる内容の1位が「家事」で35.9%(女性42.4%、男性28.7%)でした。頼られる側だった人に「あなたはもうできないから」と言うのは、役割を取り上げる宣言に聞こえます。

打ち手は、能力の話から作業の話へ論点を移すことです。

×「掃除ができていないから、人に来てもらおう」
○「高いところと風呂場だけ、危ないから代わってもらおう」

この言い換えには裏付けがあります。同じ調査で「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っているか」に「できない」と答えた人は20.5%。8項目のなかで最も高く、5人に1人です。できなくなりやすいのは家事の腕前ではなく、体を支える動作のほうということになります。脚立に乗る、浴槽をまたいで洗う、重い物を運ぶ。ここだけを外に出す提案なら否定になりません。

出典:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」問2・問11。

父親のケースでは前提が違うことがある

同じ調査では「自分で食事の用意をしている」が女性86.4%に対し男性は43.4%と、大きな差がありました。もともと料理をしてこなかった方の場合、「できなくなった」のではなく「もともとしていない」という状態です。この場合は「代わりにやってもらう」ではなく「新しく足す」話として持ちかけたほうが、抵抗が小さくなることがあります。

理由3|お金がもったいない

家事代行が広く使われていない最大の理由も、実は価格です。経済産業省の資料では、家事支援サービスの利用率は1.8%、利用しない理由の1位は「所得に対して価格が高いと思われるため」で20.0%でした。親の反応は、特別に頑固なわけではなく、多数派の感覚に近いということになります。

この理由のときに効くのは、金額をあいまいにしないことです。「お金は気にしないで」は、かえって「いくらか知らないが高いのだろう」という不安を残します。

  • 誰が払うのかを先に決めて、そのまま伝える(子どもが出すなら「これは私が出す」と言い切る)
  • 1回いくら、月いくらまで、と上限を示す
  • 交通費・指名料・キャンセル料まで含めた総額で話す(時間単価だけで話すと、あとで印象が悪くなります)
  • 兄弟姉妹がいる場合は、費用の分担と報告の方法を先に決めておく

金額が理由で切り出しにくい方へ

時間単価だけでなく、交通費まで含めた総額で並べています。親に話す前に「月いくらかかるか」を見ておくと、伝えるときの言葉が具体的になります。

交通費込みの料金比較を見る

理由4|散らかった家を見られたくない

「片付けてからじゃないと呼べない」は、断りの口実ではなく本心であることが多いものです。ここで「散らかってても大丈夫」と返すと、恥ずかしさを軽く扱われたと受け取られかねません。打ち手は見られる範囲を親自身に決めてもらうこと。入ってほしくない部屋を決めて扉を閉めておく、初回は水回りだけに限定する、といった形です。

物を捨てる作業を家事代行に任せきりにしないでください。何を残すかは本人にしか決められません。ここを他人が判断すると、そのあと二度と家に入れてもらえなくなることがあります。

理由5|そもそも困っていない(子どもとの認識差)

子どもの目には限界に見えても、本人は「今のままで足りている」と感じている。このずれが根にあるケースです。ここで「困っているでしょう」と押すと、認識のぶつけ合いになります。打ち手は、親を主語にしないことです。

×「一人じゃもう大変でしょう」
○「私が心配で落ち着かないから、月に2回だけお願いさせてほしい」

「あなたのため」ではなく「私が安心したいから」に組み替えると、親は自分の能力を否定されずに受け入れられます。人によっては、これがいちばん通る言い方です。

言い換えの一覧

避けたい言い方言い換えの例
掃除ができていないから危ない作業を減らしたいから
もう一人では無理でしょう高いところと風呂場だけ代わってもらおう
家事代行を頼もう月に2回だけ、手伝いに来てもらおう
あなたのためだから私が心配で落ち着かないから
そろそろ考えたほうがいい今月だけ試して、合わなかったらやめよう
お金は気にしないで1回◯◯円で、これは私が出す

「家事代行」という言葉そのものに抵抗を示す方もいます。その場合は、無理にサービス名を使わず「手伝いに来てもらう」と伝えたほうが通ることがあります。ただし契約する以上、誰がどういう立場で来るのかは、いずれ正確に伝えてください。

断られたときに、やらないほうがいいこと

断られた直後に説明を重ねること/兄弟姉妹が入れ替わり立ち替わり同じ話をすること/「いつまでに決めて」と期限を切ること。この3つは、結論を早めるどころか、話題そのものを持ち出しにくくします。

一度断られたら、その場は引くほうが結果的に早いことがあります。そのうえで、次の機会につながる形を残しておきます。

  • 断られた理由を、その場で問い詰めずに覚えておく(5分類のどれに近かったか)
  • 次に持ち出すときは、断られた理由に合わせて切り口を変える。同じ言い方を繰り返さない
  • 親の体調が変わったとき、季節の大掃除の前など、必要性が自然に生まれる時期を待つ
  • 兄弟姉妹がいるなら、誰が話すかを一人に決めておく

家事代行が難しいときは、介護保険の訪問介護が入口になることがある

民間の家事代行には抵抗があっても、市区町村の窓口を通した公的な制度なら話が進むことがあります。「他人を家に入れる」ではなく「制度を使う」という枠組みに変わるためです。

厚生労働省は、介護保険で支援を受けられる状態のうち「要支援状態」を、次のように説明しています。

家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが有効な状態

厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」

制度の説明文そのものに「家事」が入っています。家事の支援は、介護保険が想定している範囲の中にあるということです。「介護が必要なほどではないから」と親が言う場合でも、この点は伝える価値があります。

費用の目安(生活援助)

訪問介護のうち、掃除・洗濯・調理・買い物などにあたるのが「生活援助」です。費用は全国共通の「単位数」で決まっており、令和6年4月改定後は次のとおりです。

区分単位数サービス費用の総額自己負担1割の場合
生活援助 20分以上45分未満179単位1,790円179円
生活援助 45分以上220単位2,200円220円

1単位を10.00円として計算した場合の金額です。1単位の単価は地域によって10.00円〜11.40円まで差があり、都市部ほど高くなります。自己負担の割合は所得により1割・2割・3割のいずれかで、本人の「介護保険負担割合証」で確認できます。実際の請求額には各種加算が付く場合があります。

1回あたりの自己負担が数百円で収まるため、「お金がもったいない」が理由の親には、こちらのほうが通りやすいという面もあります。

ただし、介護保険では頼めない家事があります

  • 本人以外(同居家族)のための調理・洗濯・買い物
  • 日常生活の範囲を超える家事(大掃除、窓ふき、草むしり、家具の移動など)
  • 来客のもてなし、ペットの世話、庭の手入れ
  • 趣味のための外出の付き添い

また「同居家族がいるから生活援助は使えない」と言われることがありますが、これは一律の禁止ではありません。この点は別記事で厚生労働省と自治体の資料をもとに詳しく扱っています。

断られた理由が正しいとは限りません

ケアマネジャーや事業所から断られた内容が、制度上ほんとうに対象外なのかを、原典にあたって整理しています。

訪問介護で頼めないこと一覧を読む

介護保険の入口は「地域包括支援センター」

「まだ介護認定を受けていない」という段階でも、相談できる窓口があります。地域包括支援センターです。

厚生労働省の説明では、地域包括支援センターは地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行う機関で、市町村が設置しています。全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)あります。

出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」。設置数は令和7年4月末現在の数値です。

厚生労働省は、市町村・地域包括支援センター向けに「家族介護者支援マニュアル」も公表しています。本人だけでなく、支える家族の相談も想定された窓口だということです。「まだ何も決まっていないのですが」という段階で電話しても差し支えありません。

要介護認定の流れ

窓口で申請したあと、認定調査員の訪問調査と主治医の意見書をもとに介護認定審査会が判定し、原則として申請から30日以内に結果が通知されます。新規認定の有効期間は原則6か月です。申請できるのは本人と家族のほか、居宅介護支援事業者などが代行することもできます。本人が窓口に行きたがらなくても、手続きが止まるとは限りません。認定後のケアプランは、要介護なら居宅介護支援事業所、要支援なら地域包括支援センターに作成を依頼します。

要介護認定の流れそのものは全国でほぼ共通です。ここでは、必要書類や通知期間まで具体的に公開している自治体ページの一例として、愛知県北名古屋市の記載を参照しました。窓口の名称や必要書類は市区町村ごとに異なります。

認定を受けるほどではない、という場合

「申請しても非該当になりそう」という段階でも、道が閉じるわけではありません。北名古屋市の公式ページには、介護予防事業や生活援助、通所サービスの一部は、要支援・要介護認定を受けなくても「基本チェックリスト」による判定で利用できると記載されています。認定の手続きよりも簡易で、早く使い始められる仕組みです。

この総合事業の運用は市区町村ごとに異なります。お住まいの市区町村の窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。年度によって変更される場合があります。

認知症が背景にあるときは、伝え方の問題ではありません

同じ話を何度もする、以前できていた手続きができなくなった、日付や約束の管理が難しくなった、物の置き場所がわからなくなる回数が増えた。こうした変化が見られる場合、拒否の背景に認知機能の変化がある可能性があります。言葉の選び方を工夫するだけで解決する話ではありません。早めに地域包括支援センターやかかりつけ医に相談してください。

結局、どちらを選ぶことになるのか

A

介護保険の訪問介護(生活援助)

要支援・要介護の認定が前提。自己負担は1回数百円程度から。ただし本人以外のための家事や、大掃除・窓ふき・草むしりなど日常生活の範囲を超える家事は対象外。公的な制度なので受け入れられやすい。

B

民間の家事代行

認定は不要で、申し込めばすぐ使える。頼める範囲が広く、大掃除や家族の分の家事も依頼できる。料金は全額自己負担で、時間単価のほかに交通費などがかかる。

どちらか一方に決める必要はありません。介護保険で埋まらない部分を家事代行で補う組み合わせが現実的です。公的な制度から入りたいタイプなら、まず地域包括支援センターに相談し、足りない部分を民間に回す。すぐ手を打ちたいなら、民間から始めて様子を見る。

まずは金額の見当をつけるところから

「月にいくらかかるのか」がわかると、親に切り出すときの言葉が具体的になります。交通費まで含めた総額で各社を比較しています。

家事代行の料金比較を見る

よくある質問

本人が同意しないまま、子どもが勝手に申し込んでもいいですか
契約自体は子どもの名義でできる事業者もありますが、おすすめしません。本人が納得しないまま人が入ると、当日に家へ入れてもらえない、作業のたびに気まずくなるといったことが起こりやすく、結果として続きません。次に提案するときのハードルも上がります。
遠方に住んでいて、初回に立ち会えません
作業内容の報告方法(写真つきの報告があるか、誰に連絡が入るか)を、契約前に確認しておいてください。そのうえで、鍵の受け渡し方法と、緊急時の連絡先を決めておくことをおすすめします。
遠方から手配する場合の進め方は、遠方の親に家事代行を頼む方法で詳しく扱っています。
「家事代行」という言葉に強く反応します
言葉を変えて伝えても差し支えありません。ただし、誰がどういう立場で来るのかは、いずれ本人に正確に伝えてください。あとから事実と違うと感じさせると、信頼のほうを損ないます。
介護保険を使うほどではない気がします
厚生労働省は要支援状態を「家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが有効な状態」と説明しています。判断するのは市区町村と介護認定審査会なので、迷う段階で地域包括支援センターに相談して差し支えありません。また、認定を受けなくても基本チェックリストによる判定で利用できるサービスを設けている市区町村もあります。

出典

本ページは公的機関が公表している資料をもとに作成していますが、専門家の監修は受けていません。介護保険の制度内容や自己負担額、市区町村ごとの運用は年度によって変更される場合があります。申請や契約の前に、お住まいの市区町村の窓口、地域包括支援センター、各事業者へ必ずご確認ください。また、本ページに記載した伝え方は一般的な考え方を整理したものであり、すべてのご家庭にあてはまるものではありません。

コメント