ヘルパーに頼める医療行為はどこまで?|薬のセット・爪切り・軟膏・インスリン、頼めるものと断られるものの一覧

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「薬を飲ませてもらえますか」とヘルパーさんに聞いたら、「それは医療行為なので」と断られた。親の爪が伸びているのに、切ってもらえるのか分からない。
じつは、ヘルパーに頼めるかどうかは、厚生労働省の通知で行為ごとに整理されています。2025年12月には、お薬カレンダーへのセットが新たに加わりました。このページでは、家族が実際に頼みたいことを、通知の原文をもとに「頼める」「条件つき」「頼めない」に分けました。

先に結論だけまとめます。

  • お薬カレンダーへのセットは、2025年12月26日の通知で、条件つきで頼めると整理されました。薬局で本人用に分けてある処方薬が対象です
  • 飲み薬の手伝い・塗り薬・湿布・目薬・座薬は、医師か看護師が「手伝える状態」と確認し、家族が前もって頼むなどの条件を満たせば頼めます
  • 爪切りは、爪と周りの皮膚に異常がなく、糖尿病などで専門の管理が要らない場合に頼めます
  • インスリン・胃ろう・在宅酸素は、準備と片付け、見守りまでです。注射は頼めません。胃ろうなどの注入は、研修を受けた職員がいる登録事業所に限られます
  • 注射・点滴・床ずれの処置・摘便は頼めません。訪問看護に頼む行為です

この記事は、厚生労働省の通知の原文をもとに、運営者が調べた範囲でまとめたものです。制度の運用は市区町村や事業所ごとに違い、改定によっても変わります。実際に頼む前に、担当のケアマネジャーや主治医にご確認ください。

薬のこと:セット・飲ませる・塗る・受け取る

「ヘルパーに薬」と調べる方がいちばん多く知りたいのが、ここです。行為ごとに分けると、こうなります。

頼みたいこと頼めるか・条件
薬局で処方薬を受け取ってくる頼める。訪問介護の家事の一覧に「薬の受け取り」がある
お薬カレンダーにセットする条件つき。2025年12月から。薬局で1回分ずつまとめた処方薬など
飲む直前に、薬のシートから出す条件つき。2025年12月から。シートをハサミで1錠ずつ切り離さない
飲み薬を飲むのを手伝う条件つき。1回分ずつまとめた飲み薬。舌の下に入れる薬も含む
そばで見守り、飲むよう声をかける頼める。手を出さず、本人が飲むのを見守る形
塗り薬・湿布・目薬・座薬・鼻の噴霧薬条件つき。2005年から。床ずれの処置は含まない
水虫や爪水虫の塗り薬、吸入薬、分けてある液の飲み薬条件つき。2022年12月から
飲むかどうか、量をどうするかを決める頼めない。医師が決めること。迷ったら看護師や薬剤師に相談する

「条件つき」の条件を家族の言葉に直すと、次のとおりです。上の3つは2005年と2022年の通知に、下の3つは2005年・2022年・2025年の通知すべてに書かれています。

  • 入院や施設での治療が必要なく、容態が安定している
  • 副作用や薬の量の調整のために、医師や看護師が続けて様子を見る必要がない
  • 飲み込みに不安がある、座薬で出血のおそれがあるなど、使い方そのものに専門の配慮が要らない
  • そのうえで、医師・歯科医師・看護師が「ヘルパーが手伝える」と本人か家族に伝えている
  • 本人か家族が、事前に具体的に頼んでいる
  • 処方薬が、薬袋などで本人用に分けて渡されている
血液を固まりにくくする薬など、とくに注意が要る薬は、医師・歯科医師・薬剤師・看護師が判断するよう通知に書かれています。カレンダーにセットできる薬か、ヘルパーが手伝える薬かは、薬局や主治医に確かめてください。

市販薬を買ってきてもらうことは、通知には書かれていません。日用品の買い物と一緒に頼めるかは、ケアマネジャーに確認してください。

爪切り・耳掃除・口の中・入れ歯

頼みたいこと頼めるか・条件
爪切り・爪やすり条件つき。爪そのものに異常がなく、周りの皮膚に化膿や炎症がない。糖尿病などで専門の管理が要らない
耳あかを取る頼める。耳あかが詰まって固まったものを取るのは除く
歯みがき・口の中をふく条件つき。重い歯周病などがないこと
入れ歯を外す・はめる・洗う頼める。2022年12月から

爪は、見た目では判断しにくいところです。通知の条件には糖尿病が名指しされています。糖尿病のある方や、当てはまるか迷うときは、主治医か訪問看護師に「ヘルパーさんに切ってもらって大丈夫か」を聞いてください。

血圧・体温・血糖・酸素の値を測る

  • 体温計で、わきの下か耳で体温を測る
  • 自動の血圧計で血圧を測る。2022年12月からは、半自動の血圧計(手でポンプを押す型も含む)も含む
  • 指に挟む機械(パルスオキシメーター)で、血液中の酸素の値を測る。入院して治療する必要がない人が対象
  • 2022年12月から、体に貼って続けて測る血糖測定器のセンサーを貼る、値を読み取る。血糖値や食事の量が不安定でないことが前提

ここで大事なのは、測った数字を見て「今日は薬を飲まない」などと決めるのは、ヘルパーにはできないことです。前もって決めた範囲を外れた数字が出たら、ヘルパーは医師や看護師に報告します。家族は、報告先と範囲を主治医と決めておくと安心です。

インスリン・胃ろう・在宅酸素・尿の管は「準備と片付けまで」

病院から家に戻ると、医療の器具と一緒に暮らすことになります。ヘルパーに頼めるのは、おおむね器具の準備と片付け、見守りまでです。

器具・処置頼めること頼めないこと
インスリン注射決まった時間の声かけ、見守り、注射器を手渡す、使い終わった注射器の片付け。本人が測った血糖値や、合わせた目盛りが指示どおりかを確かめる注射そのもの。針を抜いて捨てること
胃ろう・鼻からの管の栄養準備と片付け。皮膚に赤みなどがなければ、外れた鼻の管のテープを決めた位置に貼り直す栄養を入れること、止めること(研修を終えた登録事業所の職員は別)
たんの吸引吸引器にたまった水を捨てる、水を足す吸引そのもの(研修を終えた登録事業所の職員は別)
在宅酸素指示どおりの流量に合わせる、マスクなどの準備と片付け、加湿の水の交換酸素を吸い始める・止める操作。医師・看護師か本人が行う
尿の管(膀胱留置カテーテル)尿を捨てる、量と色を見る、外れたテープを決めた位置に貼り直す。医師か看護師が確認していれば陰部を洗う。2025年12月から、袋が漏れたり外れたりしたときに限り、医師か看護師の立会いで事前に確認された人が、未使用の袋につなぎ替える定期的な交換(管と袋の両方を医師か看護師が交換する)
人工肛門(ストーマ)袋にたまった便を捨てる。2011年からは、皮膚を守る機能のある装具で、ストーマと周りの皮膚が安定していて専門の管理が要らなければ、袋の貼り替えも頼める皮膚や周りの状態に専門の管理が要る場合の貼り替え
便が出ないとき市販の使い捨てのグリセリン浣腸(成人用は40グラム程度以下など)摘便(指で便をかき出すこと)

インスリンや血糖の手伝いは、血糖値や食事の量が不安定でないことが前提です。たんの吸引(口の中・鼻の中・気管の管の内側)と胃ろうなどの栄養は、2012年4月から、医師の指示のもと、研修を終えて都道府県の認定を受けた職員が、都道府県に登録した事業所でならできるようになりました。できる職員がいるかは、事業所に聞いてください。

退院の前後で準備することは、退院後の介護の準備にまとめています。

頼めないことは、訪問看護に頼む

次の行為は、どの通知の「原則として医療行為ではない行為」にも入っていません。ヘルパーに頼むことはできません。

  • 注射、点滴
  • 床ずれ(褥瘡)の処置
  • 摘便
  • 測った数字をもとに、薬を飲むか、量をどうするかを決めること
  • たんの吸引、胃ろうなどへの栄養の注入(研修を終えた登録事業所の職員を除く)

こうした行為の受け皿は、訪問看護です。主治医が必要と認めた人の自宅に看護師が来て、療養上の世話や診療の補助をします。まずは担当のケアマネジャーか主治医に相談してください。

「事前の合意」とは、家族が何をすればいいか

条件つきの行為は、医師や看護師、本人、家族、ヘルパーの間で、前もって話がついていることが前提です。家族がやることは、次の順番です。

1主治医か訪問看護師に聞く。「この薬(この行為)は、ヘルパーさんに手伝ってもらえる状態ですか」。手伝えるなら、そう伝えてもらう。

2薬局に相談する。1回分ずつまとめてもらう、お薬カレンダーに入れやすい形にしてもらう。とくに注意が要る薬がないかも聞く。

3ケアマネジャーに伝える。どの薬を、いつ、どう手伝ってほしいかを具体的に。担当者が集まる会議で、医師や看護師に確認してもらえることがある。

4異常があったときの連絡先を決める。いつもと様子が違うとき、数字が範囲を外れたとき、ヘルパーが誰に連絡するか。

断られたら、どうするか

通知は、医師法などの解釈として「原則として医療行為ではないと考えられる」行為を示したもので、ヘルパーが必ず行うよう定めたものではありません。事業所には、安全に行えるよう職員を監督することが求められています。実際に受けてもらえるかは、事業所に確かめる必要があります。

  • 「厚生労働省の通知で整理された行為です」と伝え、事業所としての方針を聞く。2025年12月の分は、通知の日付も添える
  • ケアマネジャーに相談し、受けている事業所がないか探してもらう
  • ヘルパーで難しい部分は、訪問看護を組み合わせる

また、通知が示しているのは医師法などの上での扱いです。介護保険のヘルパーの時間の中でどう組むかは、ケアマネジャーが事業所と決めます。

ヘルパーに頼めない家事の一覧は、訪問介護で頼めないこと一覧にあります。

医療行為のまわりの家事や付き添いは、保険の外でも頼める

薬や器具の手伝いは介護保険のヘルパーか訪問看護に頼むとして、そのまわりの家事や通院の付き添いは、介護保険の外でも頼めます。訪問看護の時間に合わせた掃除、家族の分も含めた食事づくり、病院への付き添いなどです。

親向けの家事代行は、会社によって身体に触れる介助を受けるかどうかが分かれます。家事代行のスタッフには、薬や爪切りのような身体に関わることは頼まず、家事に絞ると話がこじれません。会社ごとの違いは高齢者向け家事代行サービスの比較に、通院の付き添いは病院の付き添い代行の料金にまとめています。

保険で足りない家事を、どこに頼むか比べる

料金、頼める範囲、対応エリアを同じ条件で並べています。対応エリアは市区町村ごとに違うので、親の住む市が対象かどうかを先に確かめてください。

料金と対応エリアを比べる

よくある質問

ヘルパーに薬を飲ませてもらえますか
条件つきで頼めます。薬局で1回分ずつまとめた処方薬で、容態が安定していて、医師か看護師が「手伝える」と伝えていることなどが条件です。飲むかどうかや量を決めることはできません。
お薬カレンダーへのセットは頼めますか
2025年12月26日の厚生労働省の通知で、条件つきで頼める行為として整理されました。本人用に分けて渡された処方薬が対象で、医師・歯科医師・看護師が「ヘルパーが手伝える」と本人か家族に伝えていること、事前に本人か家族が具体的に頼んでいることが条件です。
ヘルパーに爪切りを頼めますか
爪そのものに異常がなく、周りの皮膚に化膿や炎症がなく、糖尿病などで専門の管理が要らない場合に頼めます。当てはまるか迷うときは、主治医か訪問看護師に確認してください。
インスリン注射を打ってもらえますか
打ってもらうことはできません。決まった時間の声かけ、見守り、注射器の手渡し、片付け(針を抜いて捨てるのは除く)、目盛りの読み取りまでです。血糖値や食事の量が不安定でないことが前提です。
湿布や塗り薬は頼めますか
条件つきで頼めます。飲み薬と同じ条件があり、床ずれの処置は含みません。湿布は、医師か看護師が専門の管理は要らないと確認した皮膚に貼る形です。2025年12月の通知では、痛みや炎症を抑える湿布が対象で、医療用麻薬の貼り薬や皮膚病用のステロイドの貼り薬は含まないとされています。
ヘルパーに薬を取りに行ってもらえますか
頼めます。訪問介護の家事の一覧に「薬の受け取り」が入っています。処方せんの受け渡しや支払いの方法は、薬局と事業所に確認してください。
座薬は頼めますか
条件つきで頼めます。飲み薬と同じ条件があり、肛門から出血するおそれがあるなど、使い方に専門の配慮が要る場合は頼めません。
家事代行のスタッフに、薬のセットや爪切りを頼めますか
会社の方針によります。身体に触れる作業を受けない会社もあるため、契約前に確かめてください。薬や爪のことは、介護保険のヘルパーか訪問看護に頼むのが確実です。

さいごに

「医療行為だからできません」と言われても、それで終わりではありません。頼みたい行為が、通知のどこに当てはまるか。条件を満たしているか。この2つを確かめれば、頼めることは意外に多くあります。まずは主治医と薬局に、この記事の表を見せながら相談してみてください。

出典

このページは、上の一次情報をもとに、運営者が調べた範囲でまとめたものです。専門家の監修は受けていません。通知の内容は、ヘルパーが必ず行うことを定めたものではなく、受けるかどうかは事業所ごとに異なります。制度の運用は市区町村ごとに異なり、改定によっても変わります。実際に頼む前に、必ず主治医・薬局・担当のケアマネジャーにご確認ください。

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