介護保険でGPSはレンタルできる?|借りられるのは「出て行こうとしたら知らせる機械」だけ、靴と通信費は自費

介護保険でGPSはレンタルできる?|借りられるのは「出て行こうとしたら知らせる機械」だけ、靴と通信費は自費 介護の家事

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夜中に玄関の鍵が開く音がした。そのときは近所で見つかったけれど、次も見つかるとは限らない。
そう思って「介護保険 GPS」と調べると、「自治体によって異なります」という説明ばかりが並びます。読んでも、借りられるのかどうかが分かりません。
介護保険の側の答えは、実ははっきりしています。玄関に置いて「出て行こうとしています」と教えてくれる機械なら、借りられます。親に持たせて、スマホの地図で居場所を見る機械は、借りられません。このページは、厚生労働省の通知の原文と、愛知県の7つの市と東三河広域連合の公式ページを読んで書きました。

  • 借りられるのは、玄関やベッドのそばに置いて、出て行こうとしたら知らせてくれる機械です
  • 居場所を地図で追う働きに、保険は使えません。毎月の通信費も、機械を入れる靴や充電器も自己負担になります
  • 要支援1・2と要介護1の方は、原則として借りられません。残るのは要介護2以上の方ですが、状態によっては例外が認められることがあります
  • 居場所を追うほうは、市がお金を出してくれることがあります。愛知県の7市と東三河広域連合は、負担の形が3通りに分かれていました
  • 2026年3月、居場所を知らせる働きも対象に加える方向が国の検討会で示されました。2026年9月17日の時点で、通知はまだ出ていません

この記事は、厚生労働省の通知と各市の公式ページをもとに、運営者が調べた範囲でまとめたものです。制度の運用は市区町村や事業所ごとに違い、改定によっても変わります。実際に申し込む前に、担当のケアマネジャーと市の窓口にご確認ください。

知りたいことで、読む場所が変わります

そもそも借りられるのか
→ 玄関に置く機械は借りられる。持ち歩く機械は借りられない

結局いくらかかるのか
→ 住んでいる市しだいで、負担がまるで変わりますと毎月いくら見ておけばいいか

「対象になった」と書いてある記事を見た
→ 制度は動いています。ただし、改正の通知はまだ出ていません

玄関に置く機械は借りられる。持ち歩く機械は借りられない

介護保険でこの機械を借りるときの決まりは、2000年に厚生労働省が出した通知にあります。そこにはこう書かれています。

認知症である老人が徘徊し、屋外に出ようとした時又は屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの平成12年1月31日 厚生省老人保健福祉局企画課長通知

注目してほしいのは「屋外に出ようとした時」という一言です。出て行ったあとのことは、ここには書かれていません。保険が面倒を見るのは、気づかせるところまでという線の引き方です。

では、GPSが付いた機械はどう扱われるのか。同じ通知に、もう一段の決まりがありました。

但し、当該福祉用具の機能を高める外部との通信機能を有するもののうち、認知症老人徘徊感知機器において、当該福祉用具の種目に相当する部分と当該通信機能に相当する部分が区分できる場合には、当該福祉用具の種目に相当する部分に限り給付対象とする。同じ通知

難しい言い方ですが、決め手は料金の内訳です。「出ようとしたのを知らせる分」と「通信でやりとりする分」が値段として分けてあれば、前者にだけ保険が使えます。分けられていない機械は、まるごと自己負担です。調べると「自治体によって異なります」とばかり出てくるのは、この線引きの判断が市ごとに揺れているからです。

神奈川県の大和市は、同じ定義を載せたうえで、「転落防止のために使っている」「徘徊がない方の見守り用に使っている」場合は対象外だと書いています(更新日 2024年6月3日)。同じ機械でも、何のために使うかで扱いが変わります。

ケアマネジャーと話が食い違うのは、言葉のせいです

家族が「GPSを借りたい」と言うとき、頭にあるのは親に持たせて居場所を見る機械です。ところが介護保険の側がこの言葉を聞くと、「認知症老人徘徊感知機器」という種類の話になります。玄関やベッドのそばに置く据え置きの機械が中心で、持ち歩くことは前提にしていません。

同じ「見守り」という言葉でも、お互いが思い浮かべているものが違います。相談するときは、「出て行こうとしたら教えてほしい」のか、「出て行ったあとに、どこにいるか知りたい」のかを先に言ってください。それだけで話が早く進みます。

GPS付きの靴なら借りられる、と整理し直した市があります

靴や中敷きにGPSを入れる型は、市によって判断が割れてきたところです。

神奈川県の横須賀市は、もともとこの型を「外に出たあとを追うのが主な目的だ」と見て、給付の対象外にしていました。それを2021年3月31日の通知で改めます。玄関にその靴を置いておき、履いて出て行こうとしたところを感知する。そういう使い方なら、通知の「屋外に出ようとした時」に当てはまるという整理でした。

ただし同じ通知で、保険が使えるのは知らせる働きだけで、居場所を追う働き・通信費・靴や充電器といった付属品は自己負担になると念を押しています。靴そのものを保険で借りられるわけではありません。靴や中敷きを買うお金のほうは、市の助成で扱われています。愛知県では豊田市と西尾市が購入費を補助し、一宮市は中敷き型を市の事業に入れていました。

住んでいる市しだいで、負担がまるで変わります

ここまでは介護保険の話でした。実際にいくら払うかを決めているのは、住んでいる市のほうです。愛知県の7つの市と東三河広域連合を読んでいくと、お金の出方が3つに分かれていました。

型自己負担の形市
市が貸してくれる月額が定額、または無料一宮市・安城市・刈谷市
月額を市が持つ月額の1割(上限あり)名古屋市
買う費用だけ補助月額は全額自己負担豊田市・春日井市・西尾市・東三河広域連合

1つずつの中身です。金額は公式ページに書かれている一例なので、更新日を添えました。

市助成の中身更新日
名古屋市月額の1割。上限は捜索の電話を受けるオペレーターなしで800円、ありで3,100円。市民税非課税世帯などは無料。初期費用も限度額(同じくなし6,600円、あり7,800円)までは無料2026年8月13日
一宮市月240円(画面で探す)、390円(電話で探してもらう)、330円(靴の中敷き型)2026年7月1日
安城市貸出と居場所の連絡は無料。現場へ行ってもらう分は自己負担で、公式ページの表記は「1回午前1時間につき11,000円」2026年5月25日
刈谷市紐を引くと通報できる携帯型の機器と人感センサーを無料で貸与。居場所を探す機能が付くのは、徘徊の症状がある場合に限る。通話は1回5分まで無料2023年4月1日
豊田市買う費用を上限22,000円まで助成(1人1回)。月額は自己負担2026年8月20日
春日井市買う費用を上限10,000円まで助成(1人1回)2025年11月11日
西尾市買う費用を上限10,000円まで(1人1回)。月額は対象外2025年6月13日
東三河広域連合(豊川・豊橋など)買う費用を上限10,000円まで。月額は自己負担2026年1月5日

申し込める人の条件にも、市によって幅があります。西尾市は、要介護または要支援の認定に加えて医師の認知症の診断と見守り登録の3つが揃わないと使えません。名古屋市は認定の要件を書いておらず、「市内在住の徘徊のおそれがある認知症の人の親族など」を対象にしています。東三河広域連合は「40歳以上で在宅の方」を対象にしていて、若い世代の認知症も想定した書き方です。

制度は動いています。ただし、改正の通知はまだ出ていません

ここから先は、2026年9月17日に確かめた時点の状況です。

2026年3月9日、厚生労働省の検討会(介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会 令和7年度第3回)で、居場所を家族に知らせる働きも保険の対象に加える方向が示されました。「屋外に機器を携行するものに限る」という条件が付いています。2026年3月30日には国の審議会に報告され、その資料に、この先の段取りが書かれました。

  • 令和8年6月ごろに、改正した通知と質疑応答を出す
  • 案では、屋外に持ち歩ける機器に限り、居場所を知らせる装置そのものも対象に含める
  • システムの改修が終わってから、改正した通知を施行する
2026年9月17日に確かめた時点で、この通知は出ていません。厚生労働省が公表している通知の本文は3月から変わっておらず、「位置情報」という言葉は一度も出てきません。検討会の開催一覧も、2026年3月9日の令和7年度第3回が最後のままです。いまは「対象になる予定」の段階で、使えるようになったわけではありません。

業界紙のいくつかが、この件を「屋外位置情報通知機能を新たに給付対象に追加した」と終わったことのように書いています。その記事を読んでも、案の解説なのか通知そのものなのかを見分けられません。ケアマネジャーや事業者と話すときに、そうした記事を根拠にしないでください。

毎月いくら見ておけばいいか

居場所を追うほうは、自分で払うことになります。目安になるのが、厚生労働省が2026年3月に示した調べです。福祉用具の情報システムに未登録の見守り機器21件を調べたもので、居場所が分かる型は、月額が公表されていた4件の平均が1,452円でした(同じ型の調査対象は6件)。家の中の様子が分かる型は4件の平均で1,352円、家電の使用を知らせる型は5件の平均で2,083円です。どれも一例で、機種と契約によって変わります。

同じ調べに、もう一つ気になる数字がありました。116の会社の336製品に尋ね、答えのあった48の会社の99製品のうち、居場所を知らせる働きを別料金で備えた徘徊感知機器は2件だけでした。保険の枠のなかで居場所まで分かる機種は、そもそもほとんどありません。

見積もりでいちばん抜けやすいのが、見つけたあとに人が向かう費用です。安城市は貸出を無料にしていますが、現場へ行ってもらう分は自己負担になります(更新日 2026年5月25日)。毎月の通信費と、靴や充電器などの付属品も自己負担です。

3月の検討会の案でも、通信料金とアプリの費用、家族が使うスマートフォンやタブレットを買う費用、そして駆けつけや安否確認を含む一切の役務は対象に含めないとされています。ここで対象外になる端末は家族が受け取る側のもので、持ち歩く機器そのものは、屋外に携行できるものに限って含める案です。機械が受け持つのは知らせるところまでという線の引き方は、案になっても変わっていません。

知らせる機械と、人が訪ねる形を組み合わせる

機械が受け持つのは、居場所を知らせるところまでです。実際に家を訪ねて様子を見るほうは、別に用意することになります。保険の外で頼める家事の会社なら、掃除や買い物のついでに様子を見て、家族へ報告する形を取れる場合があります。料金は一例で、対応エリアは市区町村ごとに違いますから、親の住む市が対象かどうかを先に確かめてください。家事代行は決まった日に訪ねるサービスで、行方が分からなくなったときの駆けつけや緊急の対応はできません。そちらの備えは、市の見守りの登録制度や警備会社の駆けつけサービスなど、別に用意してください。

家事だけを頼む
CaSy(名古屋市・尾張)

家事に加えて、家族への報告もほしい
ベアーズ(三河も対応)

会社を並べて比べたい
料金と対応エリアを比べる

保険で頼める範囲は訪問介護で頼めないこと、会社の選び方は高齢者向けの家事代行の比べ方、遠くに住む親のことは遠方の親に家事代行を頼むにまとめました。

見つからなかったときのために、登録しておく

機械の話とは別に、先に登録しておく仕組みがあります。行方が分からなくなったときに、市が協力先へ一斉に連絡してくれるものです。今回調べた範囲では名古屋市・岡崎市・豊橋市が持っていて、名古屋市は登録そのものが無料でした(知らせを受け取る通信費は自己負担)。機械を借りるかどうかに関係なく登録できます。

1地域包括支援センターに「見守りの登録制度はありますか」と聞く。名前は市ごとに違います
2本人の写真・服装・よく行く場所などを登録する
3見つからないときに誰へ連絡するかを、家族のあいだで先に決めておく

名古屋市は「はいかい高齢者おかえり支援事業」、岡崎市は「認知症高齢者等見守りネットワーク事業」、豊橋市は「とよはし高齢者等おかえり安心ネットワーク事業」という名前で行っています。

よくある質問

要支援や要介護1でも借りられますか
原則として借りられません。厚生労働省は、要支援1・2と要介護1の方について、この機械を含む7つの種類を原則の対象外にしています。残るのは要介護2以上の方です。ただし、「意見の伝達、介護を行う者への反応、記憶又は理解に支障がある者」で、かつ「移動において全介助を必要としない者」に当てはまれば、例外が認められることがあります。認められるまでに、医師の所見にもとづく判断・サービス担当者会議などを通した検討・市区町村が書面で確認すること、の3つが要ります。当てはまりそうかどうかは、担当のケアマネジャーに聞いてみてください。
介護保険と市の助成は、両方使えますか
別々の仕組みなので、分けて考えてください。介護保険は知らせる機械を借りるもの、市の助成は居場所を追う費用を軽くするものです。窓口も別で、保険はケアマネジャー、助成は市の高齢者福祉の担当課になります。両方に聞いてみるのが確実です。
施設に入ったら使えますか
介護保険での貸し出しは、自宅で暮らしている方が対象です。市の事業も在宅を条件にしている例があり、東三河広域連合は「40歳以上で在宅の方」としています。入所の予定があるなら、先に市の窓口へ確認してください。
見守りカメラは介護保険で借りられますか
借りられません。通知が定めているのは「感知して知らせる」機械で、映像を映すものは当てはまりません。今回調べた愛知県の7市と東三河広域連合の助成にも、カメラを対象にしたものはありませんでした。
いつから「使えるようになった」と言えますか
改正した通知が出て、施行されたときです。2026年9月17日の時点では、まだ出ていません。この記事は、通知が出た段階で書き換えます。

さいごに

「介護保険でGPSは借りられますか」に一言で答えるなら、「出て行こうとしたのを知らせる機械なら借りられます。居場所を追うほうは、いまのところ自費か市の助成です」になります。まずは地域包括支援センターで、市の助成制度の名前と、見守りの登録制度の名前の2つを聞いてみてください。それが分かれば、毎月いくらかかるのかが見えてきます。

出典

このページは、上の一次情報をもとに、運営者が調べた範囲でまとめたものです。専門家の監修は受けていません。制度の運用は市区町村ごとに異なり、改定によっても変わります。市の助成の金額と条件は、公式ページの更新日の時点のものです。実際に申し込む前に、必ず担当のケアマネジャーと市の窓口にご確認ください。

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