介護保険の限度額を超えた場合はどうなる?|限度額オーバー分の自己負担と、よそに頼むと安くなるか

介護保険の上限を超えたらどうなる?|よそに頼むと安くなるか、金額で確かめました 介護の家事

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ケアマネジャーから「このままだと来月は上限を超えます」と言われて、慌てて調べている方が多いページです。上限を超えた分は全額が自己負担になるので、「それなら保険を使わずに、よそに頼んだほうが安いのでは」と考えるのは自然です。ただ、実際に金額を並べてみると、そうとは限りませんでした。頼みたいのが家事なのか、体を支える介助なのかで、答えがはっきり分かれます。

上限を超えた分を介護保険で使い続けた場合と、保険を使わないサービスに頼んだ場合の金額を、同じ条件で並べます。公的資料と各社が公表している料金だけを使いました。

※ 金額は、地域ごとの割増がない地域にお住まいで、自己負担が1割の方を前提にした一例です。お住まいの地域や事業所によって金額はかなり動くので、幅で示している箇所があります。制度の運用は市区町村ごとに違い、改定によっても変わります。実際にご利用になる際は、必ず担当のケアマネジャー、またはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

保険を使わない側の会社を先に見たい方へ

この記事で金額を並べた「よそ」は、次の2種類です。

体を支える介助なら イチロウ(名古屋市・尾張) 家事だけなら CaSy(名古屋市・尾張)

お住まいの市が対象かどうかは会社ごとに違います。市ごとの対象は高齢者向け家事代行サービスの比較に、料金の総額は家事代行の料金比較にまとめています。

上限を超えると、その分だけ値段が10倍になります

介護保険には、1か月に使えるサービスの量に上限があります。要介護度ごとに決まっていて、たとえば要介護2なら約19万7千円分、要介護5なら約36万2千円分です。この枠の中なら、実際に払うのは1割から3割で済みます。

問題は、枠を超えた分です。超えた部分には保険が効かないので、1割負担の方なら、同じサービスの値段が10倍になります。

よくある誤解ですが、全部が10倍になるわけではありません。10倍になるのは超えた分だけです。枠の中に収まっている分は、これまでどおり1割から3割のままです。

ここから先が、この記事の本題です。「10倍になるくらいなら、保険を使わないサービスに頼んだほうが安いのでは」という考えが正しいかどうかを、金額で確かめます。

まず確かめること。頼みたいのは家事か、介助か

結論から言うと、ここで答えが分かれます。

A

家事

掃除、洗濯、調理、買い物、ゴミ出しなど。体に触れない手伝いです。

B

体を支える介助

歩くときの支え、入浴やトイレの介助、車いすへの移り乗り、着替えなど。体に触れる手伝いです。

家事なら、上限を超えても介護保険のまま続けるほうが安く済みます。一方、体を支える介助は、金額では決められませんでした。事業所によって逆転するためです。別の基準で選ぶことになります。

なぜそうなるのかを、次の2つの章で説明します。どちらか一方だけ読んでいただいてかまいません。

家事なら、介護保険のまま続けるほうが安い

意外に思われるかもしれませんが、こちらははっきりしています。

介護保険の家事の手伝いは、45分を超えると、時間が延びても値段が変わりません。45分でも2時間でも同じ額です。上限を超えて10倍になったとしても、その額は2時間でおよそ2,200円から3,400円にとどまります。

これを、保険を使わない家事代行と並べます。

頼み方2時間あたりの負担覚えておきたいこと
介護保険の家事(上限を超えた分)約2,200〜3,400円45分を超えると時間が延びても額は変わらない
家事代行 定期(C社の一例)6,460円交通費880円を含む。週1回の定期契約の場合
家事代行 スポット(同)7,860円交通費880円を含む。1回だけの利用

※ 家事代行の金額は1社の公表料金の一例です。会社・地域・時間帯によって変わります。対応していない市区町村もあるので、料金より先にお住まいの地域が対象かどうかをご確認ください。

差は2倍以上あります。10倍になってもなお、介護保険のほうが安いということです。

ただし、金額だけで決めないでください。介護保険の家事の手伝いには、そもそも頼める範囲に決まりがあります。ご家族の分の食事、来客用の準備、大掃除、庭の手入れなどは、上限とは関係なく対象外です。「上限を超えるかどうか」より前に「そもそも頼めるかどうか」の問題があります。詳しくは訪問介護で頼めないこと一覧にまとめました。

また、上限を超えた分を10倍で提供してもらえるかどうかは、事業所の判断です。事務の手間がかかるため、対応していない事業所もあります。ケアマネジャーに「超えた分も続けられますか」と確認してください。

体を支える介助は、金額では決められません

こちらは、比べても答えが出ませんでした。介護保険の側の金額が、事業所によって大きく動くためです。

介護保険の料金には、事業所の体制に応じた上乗せがあります。研修や資格者の配置が手厚い事業所ほど高くなり、上乗せがまったくない事業所と、いちばん手厚い事業所とでは5割以上違います。上限を超えている状態では、この上乗せ分もそのまま10倍になります。

実際に計算してみると、介護保険の金額の幅が、保険を使わない訪問介護の料金をまたいでいました。同じ2時間でも、事業所によって介護保険のほうが安いことも、高いこともあります。どちらが得かを、この記事で決めることはできません。

正確な金額は、ケアマネジャーが出せます。「上限を超えた分はいくらになりますか」と聞けば、利用票をもとに実額を計算してもらえます。比べるのはその数字と、保険を使わないサービスの見積もりです。この記事の金額ではありません。

そのうえで、金額が近いなら、頼める内容と自由度で選んでください。介護保険はケアプランに書かれた内容と時間帯の範囲でしか頼めません。保険を使わないサービスにはその制約がないので、「今週だけ」「この時間だけ」という頼み方ができます。逆に、いま来ているヘルパーさんに続けて来てほしいなら、介護保険を続けるほうが自然です。

体を支える介助を頼める事業者を探す

家事代行では体に触れる介助を受けていない会社が多く、対応エリアも会社ごとに違います。料金・対応範囲・エリアを同じ条件で並べました。

家事代行と自費ヘルパーを比べる

夜間・早朝は、介護保険のほうが割高になります

ここまでの金額はすべて日中のものです。介護保険は、朝夕と夜間の時間帯に割増がかかります。

  • 早朝(6時〜8時)と夜間(18時〜22時)は2割5分増し
  • 深夜(22時〜6時)は5割増し

上限を超えている状態では、この割増もそのまま10倍にかかります。深夜に2時間の介助を頼むと、およそ11,000円から16,900円です。同じ時間帯の自費はおよそ9,970円なので、ここはどの事業所でも自費のほうが安くなります。

「夜や早朝に頼みたい」という場合は、保険を続けるより自費を調べる価値があります。自費にも夜間料金はありますが、上がり方が緩やかです。

※ 自費の金額は1社の公表料金の一例で、2時間ぶん・交通費990円を含みます。この会社は1回2時間からの利用で、それより短い時間は選べません。前日15時以降の予約は1.4倍になります。会社によって料金も対応エリアも違い、この会社は東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・兵庫・京都に対応しています。
※ 介護保険の額は、お住まいの地域と事業所の体制によっても動きます。同じサービスでも都市部は割高です。正確な額はケアマネジャーか事業所にご確認ください。

上限に入らない費用もあります

「上限が心配だから、手すりの取り付けは我慢しよう」と考える方がいますが、その必要はありません。次のものは月々の上限とは別枠です。

別枠になるもの上限
住宅改修(手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床への変更、引き戸への取り替え、洋式便器への取り替えなど)合計20万円まで。要介護度による違いはなく、数回に分けて使える
特定福祉用具の購入(入浴用のいす、浴槽用手すり、腰掛便座など)年度内(4月から翌年3月)10万円
医師・歯科医師・薬剤師などが自宅を訪問して行う指導月々の上限に含まれない

住宅改修には落とし穴があります。市町村への事前の申請が必要で、工事を始めたあとに申請しても対象になりません。「先に工事してもらってから手続きすればいい」と考えると、受けられるはずだった給付(1割負担の方なら最大18万円)がまるごと受けられなくなります。必ずケアマネジャーに相談してから業者に連絡してください。すでに着工してしまった場合も、まずはお住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。

住宅改修の20万円は、1人が同じ住宅で使える合計額です。1回で使い切る必要はなく、分けて使えます。使い切ったあとでも、「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がったとき引っ越したときは、もう一度20万円分を使える場合があります。3段階以上上がったことによる分は1人につき1回だけですが、引っ越しによる分は住宅ごとなので、引っ越すたびに使えます。市区町村によっては独自の上乗せ制度もあるので、窓口で確認してみてください。

保険では頼めない家事を、いくらで頼めるか

ご家族の分の食事、大掃除、庭の手入れなど、上限とは関係なく介護保険の対象外になる家事があります。それをどこにいくらで頼めるかをまとめました。

家事代行の料金を比べる

払い戻しの制度は、超えた分には使えません

介護保険には、1か月の自己負担が高くなったときに、超えた分が戻ってくる制度があります。上限額は所得によって決まります。

世帯の状況1か月の上限
世帯に課税所得690万円以上の65歳以上の方がいる140,100円(世帯)
同じく課税所得380万円以上690万円未満93,000円(世帯)
上記以外で、市町村民税が課税されている方がいる44,400円(世帯)
世帯の全員が市町村民税非課税24,600円(世帯)
そのうち、年金収入などの合計が82万6,500円以下の方15,000円(個人)

ただし、この制度は上限を超えた分には使えません。

理由は制度の対象の決め方にあります。名古屋市の説明では、対象は「介護保険にかかる利用者負担(1割分、2割分または3割分)の合計」とされています。上限を超えた分は10割の負担なので、そもそもこの合計に入りません。

住宅改修や福祉用具の購入にかかった負担、施設の食費・居住費、理美容代なども対象外です。

医療費もかさんでいる場合は、1年分の医療費と介護費を合算して払い戻す別の制度があります。こちらも窓口で聞いてみてください。

※ 上限が15,000円になる区分の基準額は、2026年8月1日から82万6,500円に変わりました。それ以前は80万9千円です。自治体のページによっては更新が追いついていないことがあるので、金額はお住まいの市区町村にご確認ください。要支援の方が市町村の事業のサービスを使っている場合も、同じ仕組みの払い戻しがあります。名前が違うので窓口でご確認ください。

いちばん先に確認してほしいこと

1担当のケアマネジャーに、枠の残りを聞いてください。毎月渡される利用票の別紙に、どのサービスがいくら分で、上限に対してどれだけ使ったかが書かれています。「今月はあといくら残っていますか」と聞けば教えてもらえます。

2本人の状態が重くなっているなら、要介護度の見直しを申請してください。認定が変われば上限も上がります。しかも効力は申請した日にさかのぼります。「今月はもう超えたから来月から」ではなく、いま申請すれば今月分から救われる可能性があります。ただし調査が必要で、必ず上がるとは限りません。下がることもあり、その場合は上限も申請日にさかのぼって下がります。申請の前にケアマネジャーに相談してください。

3保険外のサービスを使うなら、対応エリアを先に確認してください。料金を比べてから「対象地域ではなかった」と分かるのが、いちばん時間の無駄になります。

2の見直しを申請した場合、結果が出るまでは「仮のプラン」で過ごすことになります。その間に使える量は、あとから自己負担にならないよう控えめに組まれることがあります。結果が出るまでの日数と、その間をどう埋めるかは退院後の介護、保険はいつから使える?にまとめました。退院の直後だけでなく、区分変更を出したときにも同じことが起きます。

まだ担当のケアマネジャーがいない場合や、要支援の場合は、お住まいの地域包括支援センターが窓口です。ご家族からの相談も受け付けています。

よくある質問

上限を超えたら、それ以上サービスは使えなくなりますか
使えなくなるわけではありません。超えた分を全額自己負担すれば、続けて利用できます。ただし、その分を引き受けるかどうかは事業所の判断になります。
上限を超えると、その月の利用料が全部10倍になりますか
なりません。10倍になるのは超えた分だけです。枠の中の分は1割から3割のままです。
要支援でも上限はありますか
あります。ただし要支援の方が使う訪問や通所のサービスは市町村の事業に移っており、利用回数の目安がケアプランを作る段階で決まります。上限に届く前に回数の話になるのがふつうです。実際に上限を超えている方の割合も、要支援では非常に少なくなっています。
上限を超えた分は、確定申告の医療費控除に使えますか
サービスの種類によって扱いが分かれ、事業所が発行する領収書に医療費控除の対象額が記載されます。ここは税務署または市区町村の窓口にご確認ください。当サイトでは判断できません。
家事だけなら、介護保険を10倍で続けるのがいちばん安いということですか
金額だけを見ればそうなります。ただし介護保険の家事の手伝いには頼める内容の決まりがあり、ご家族の分や日常の範囲を超える作業は対象外です。「安いほう」ではなく「頼みたいことが頼めるほう」で選んでください。

保険の枠の外を、いくらで埋められるか

上限を超えたとき、介護保険を続けるか、保険外のサービスに切り替えるか。判断するには、保険外がいくらかかるかを知っておく必要があります。料金・対応範囲・エリアを同じ条件で並べました。

家事代行・自費ヘルパーの料金を比べる

通院の付き添いを頼みたい場合は、介護保険が使える条件が別に決まっています。通院の付き添いは誰に頼める?で費用を比較しています。

出典

このページは、上の一次情報と各社が公表している料金をもとに、運営者が調べた範囲でまとめたものです。専門家の監修は受けていません。制度の運用は市区町村ごとに異なり、改定によっても変わります。実際にご利用になる際は、必ず担当のケアマネジャー、またはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。料金は各社の公式ページで確認した時点のもので、変更される場合があります。

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