遠方の親に家事代行を頼む方法|制度と事業者に配る手順

遠方の親に家事代行を頼む方法|制度と事業者に配る手順 介護の家事

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実家が遠い。仕事は辞められない。それでも親の暮らしが心配。このページは、そういう状況で「自分が通う」以外の手を増やすための整理です。国の資料では、介護休業は自分で介護するための期間ではなく、体制を整える期間だとされています。

月に一度、実家に帰るたびに気になることが増えていく。流しに洗い物がたまっている。冷蔵庫の中が減っていない。それでも仕事は休めないし、片道数時間の距離は変わりません。

このとき多くの方が考えるのが、実家の近くに移り住むか、親を呼び寄せるかの二択です。けれど「離れたまま、外の手を入れて回す」という三つ目の選び方があります。しかもこれは、公的な資料で明確に位置づけられている方法です。

先に費用の見当をつけたい方へ

実家に人を入れる場合、月にいくらかかるのかがわからないと判断できません。交通費まで含めた総額で各社を比べています。

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離れて手配するなら、鍵の預かりと毎回の報告がある会社から。 ベアーズ(報告あり・三河も対応) 体に触れる介助まで頼むなら イチロウ(名古屋市・尾張)

遠距離介護は、例外的な形ではありません

「親が遠いのに、自分が行かなくていいのだろうか」という後ろめたさを抱える方は多いものです。ですが厚生労働省の調査を見ると、離れて介護している人は少数派ではありません。

要介護者等から見た主な介護者2025年2022年
同居(配偶者・子・子の配偶者など)46.1%45.9%
別居の家族等13.4%11.8%
事業者16.0%15.7%

出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況。同居の内訳は配偶者22.5%、子18.2%。「不詳」が23.9%あるため、合計は100%になりません。

主な介護者が「別居の家族等」である割合は13.4%。3年前の11.8%から増えています。遠距離介護は例外的な形ではなく、増えている形です。

そして、その担い手の年齢層もはっきりしています。同調査で別居の主な介護者を年齢階級別に見ると、50代と60代を合わせて男性で84.4%、女性で80.1%を占めます(50〜59歳と60〜69歳の割合を合算した数値です)。原典にも、同居の介護者に比べて別居のほうが若い世代の割合が高いと記されています。

親がひとりで暮らしている家は、もう珍しくない

同じ調査で、要介護者等のいる世帯の構造を見ると変化がはっきり出ています。

世帯構造2025年2001年
単独世帯33.2%15.7%
核家族世帯40.2%29.3%
三世代世帯9.0%32.5%

要介護者等のいる世帯の3分の1が単独世帯です。24年前は15.7%でしたから倍以上になり、逆に三世代世帯は32.5%から9.0%まで下がりました。「実家に親がひとりで住んでいる」は、いまや標準に近い状態です。

国は「介護休業は、自分で介護する期間ではない」と言っています

ここがこのページでいちばんお伝えしたい点です。厚生労働省は、介護休業の活用ポイントとして次のように書いています。

休業期間中は、自分が介護を行うのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間と捉え、一人で抱え込まずに、制度やサービスを活用しましょう。

厚生労働省「介護休業」介護休業制度特設サイト

そのうえで、具体的にやることとして次の4つが挙げられています。

  • 市区町村、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへの相談
  • 介護サービスの手配
  • 家族で介護の分担を決定
  • 民間事業者やボランティア、地域サービスなど、利用できるサービスを探す

「民間事業者を探す」ことが、国の側から介護休業の使い道として挙げられています。自分で全部やろうとするのではなく、外の手を見つけて配ることが想定されている、ということです。

選び方は3つある

東京都の公式ポータルでは、遠くに住む親の介護に必要になったときの選択肢が3つに整理されています。

  • Uターン介護……親の暮らす家またはその近所に、子が転居して介護する
  • 呼び寄せ介護……子の暮らす家またはその近所に、親に転居してもらって介護する
  • 遠距離介護……親も子も住み慣れた家に暮らしたまま、子が通って介護する

同じページには、一旦仕事を辞めると正社員での再就職は難しい場合が多く年収が大きく下がりやすいこと、十分な準備をせず同居を始めると親子共倒れになる恐れがあることも書かれています。そして日常的な身体介護はなるべく介護サービスを活用し、子は様子の確認や諸手続きの代行に特化すれば、遠く離れていても十分に対応可能だとされています。

出典:東京都 産業労働局「遠くに住む親の介護」。

遠方にいても、介護保険の手続きは止まりません

「手続きのたびに帰省しないといけないのでは」と考えて、申請そのものを先延ばしにしてしまうことがあります。ですが手続きは、必ずしも本人や子が窓口に行かなければ進まないわけではありません。

愛知県北名古屋市の公式ページには、要介護認定の申請について「申請者は本人、家族。居宅介護支援事業者や介護保険施設の代行もできます」と記載されています。認定結果は原則として申請から30日以内に通知され、新規認定の有効期間は原則6か月です。

制度の骨格は全国共通ですが、窓口の名称や必要書類は市区町村ごとに異なります。ここでは手順を具体的に公開している自治体ページの一例として北名古屋市の記載を参照しました。年度によって変更される場合があります。

最初に電話するのは地域包括支援センター

まだ認定を受けていない段階でも、相談できる窓口があります。地域包括支援センターです。厚生労働省の説明では、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行う機関で、市町村が設置しています。全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)あります。

さらに厚生労働省は、市町村・地域包括支援センター向けに「家族介護者支援マニュアル」も公表しています。本人だけでなく、支える家族の相談も想定された窓口だということです。遠方に住む子が電話で相談しても差し支えありません。

出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」。設置数は令和7年4月末現在の数値です。

ひとり暮らしの親の44.1%は「要支援」です

もうひとつ、遠方の子が知っておきたい数字があります。要介護者等のいる世帯を要介護度で見ると、単独世帯は他と傾向が違います。

現在の要介護度総数単独世帯
要支援者のいる世帯35.9%44.1%
要介護者のいる世帯62.6%54.7%

ひとり暮らしの要介護者等のうち44.1%は、要介護ではなく要支援です。寝たきりに近い状態ではなく、「重度ではないけれど、家事が回らなくなってきている」層がいちばん多いということになります。

要支援になったきっかけの上位も、病気よりも体の衰えです。1位は高齢による衰弱17.7%、2位は関節疾患14.8%、3位は骨折・転倒14.7%でした。

要支援でも、生活援助は使えます

訪問介護のうち、掃除・洗濯・調理・買い物などにあたるのが「生活援助」です。費用は全国共通の単位数で決まっています。

区分単位数サービス費用の総額自己負担1割の場合
生活援助 20分以上45分未満179単位1,790円179円
生活援助 45分以上220単位2,200円220円

1単位を10.00円として計算した場合の金額です。1単位の単価は地域によって10.00円〜11.40円まで差があり、都市部ほど高くなります。自己負担の割合は所得により1割・2割・3割のいずれかです。実際の請求額には各種加算が付く場合があります。

ただし、介護保険では頼めない家事があります

  • 本人以外(同居家族)のための調理・洗濯・買い物
  • 日常生活の範囲を超える家事(大掃除、窓ふき、草むしり、家具の移動など)
  • 来客のもてなし、ペットの世話、庭の手入れ
  • 趣味のための外出の付き添い

帰省したときにやろうと思っていた大掃除や庭の手入れは、介護保険では頼めません。ここが民間サービスの出番になります。断られる範囲の詳細は別記事で扱っています。

断られた理由が正しいとは限りません

ケアマネジャーや事業所から断られた内容が、制度上ほんとうに対象外なのかを、原典にあたって整理しています。

訪問介護で頼めないこと一覧を読む

介護保険で埋まらない部分を、誰に頼むか

民間の選択肢は大きく2つに分かれます。分かれ目は「体に触れる介助ができるかどうか」です。これは各社が公式に書いています。

A

家事代行

掃除・洗濯・調理・買い物などの家事が中心。認定は不要ですぐ使える。ただし各社とも「高齢者の身体介護など直接身体に触れる作業」「介護・介助、医療行為」は受けられないと明記している。

B

自費ヘルパー(保険外の訪問介護)

介護福祉士や看護師などの有資格者が訪問する。要介護・要支援の認定を受ける前でも利用でき、通院の付き添いや長時間の見守りも頼める。家事だけの依頼より単価は高くなる。

自費ヘルパーの事業者自身も「家事代行サービスは、身体に触れる専門的な介護サービスを依頼することができません」と説明しています。親の状態が「家事が回らない」だけなら家事代行、「立ち座りや移動も不安」なら自費ヘルパー、という分け方になります。

通院の付き添いについては通院の付き添いは誰に頼める?で費用を比較しています。

会社ごとの「高齢者向けプラン」の中身と、愛知の市ごとに頼める会社は高齢者向け家事代行サービスの比較にまとめています。身体に触れる介助を受ける会社は、そちらで社名ごとに分けました。

出典:各事業者の公式サイトのよくある質問ページ(3社)。いずれも2026年8月11日に確認しました。個別の社名と参照先は末尾の出典欄に記載しています。

親が在宅できるかどうかで、選べる事業者が変わります

遠方の子にとって現実的な問題は、当日その場に誰もいないことです。ここは事業者ごとに規定がはっきり分かれています。

確認する点公式に書かれている内容の例
不在でのサービスある事業者は定期サービスの初回から不在で差し支えないとしている。別の事業者は開始時と終了時の在宅を原則としている
鍵の扱い鍵預り証を発行し通し番号で管理・施錠保管する事業者がある一方、預かりはオプションで紛失の責任は負わないと明記する事業者もある
作業の報告訪問後にヘルパーからレポートが届く事業者、引継ぎノートに記入する事業者、チャット機能で期間を区切って連絡する事業者に分かれる
支払い方法クレジットカードの前払いのみの事業者と、口座振替や請求書払いを選べる事業者がある

具体的な条件・オプションの有無・料金は事業者ごとに異なり、変更されることもあります。申し込む前に各社の公式ページで最新の内容をご確認ください。

支払いには、遠方ならではの落とし穴があります

請求書払いを選べる事業者では、請求書がサービスを受けた住所、つまり実家に郵送される場合があります。子が費用を負担するつもりでも、届く先が親の家であれば親の目に触れます。金額を伝えていない場合はここでもめることがあるので、申し込みの段階で送付先を確認しておいてください。

契約する人と、サービスを受ける場所が違う場合の扱いは、事業者によって異なります。会員登録時の本人確認で、登録した氏名・住所と身分証の記載が一致している必要があるとしている事業者もあります。子の名義で契約して実家をサービス先にできるかどうかは、公式ページからは読み取れないことが多いため、申し込む前に必ず事業者へ直接ご確認ください。

条件と料金をまとめて見比べる

対応エリア、最低利用時間、交通費まで含めた総額を並べています。実家の住所が対応エリアに入っているかも、ここで確認できます。

家事代行の料金比較を見る

通うための制度も使えます

外に手を配ったうえで、それでも自分が動く場面は残ります。そのための制度が2つあります。どちらも対象家族に父母が含まれます。

項目介護休暇介護休業
日数対象家族1人なら1年間に5日まで。2人以上なら10日まで対象家族1人につき3回、通算93日まで
取得単位1日または時間単位まとまった期間
申出書面に限定されず、口頭でも可能開始予定日の2週間前までに書面等で
収入の補償有給か無給かは会社の規定による要件を満たせば休業開始時賃金日額の67%相当額の給付金

介護休暇は時間単位で取れて、申し出も口頭で構いません。厚生労働省の活用ポイントには、通院の付き添いや介護サービスの手続代行の場合にも利用でき、ケアマネジャーなどとの短時間の打合せにも使えると書かれています。半日だけ抜けて地域包括支援センターに行く、という使い方が想定されているということです。

なお介護休暇は、労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できるものとされています。有給を削らずに使えるかどうかは勤務先の規定によりますが、「有給がないから無理」と最初から諦める必要はありません。

出典:厚生労働省「介護休暇」「介護休業」介護休業制度特設サイト。対象となるのは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある家族です。労使協定によって対象外となる労働者の定めがある場合があります。詳しくは勤務先または都道府県労働局にご確認ください。

兄弟姉妹がいる場合は、先に3つ決める

遠方の子が複数いると、連絡が二重になったり、費用の負担があいまいなまま進んだりします。手配を始める前に、次の3つだけ決めておくと後が楽です。

  • 費用を誰がどう分担するか。月額の上限も決めておく
  • 事業者からの報告を誰が受けるか。窓口は一人に絞る
  • 親に話す担当を誰にするか。複数人が別々に話すと、親には囲まれていると受け取られやすい

親がまだ乗り気でない段階であれば、伝え方を先に整理したほうが早いことがあります。

親が難色を示している場合

嫌がる理由は一つではありません。理由別の言い換えと、公的制度から入る方法を整理しています。

高齢の親が家事代行を嫌がるときの伝え方を読む

よくある質問

要介護認定の申請は、遠方の子が代わりにできますか
市区町村によりますが、申請できる人として本人と家族のほか、居宅介護支援事業者や介護保険施設の代行を認めている自治体があります。まずはお住まいの実家の市区町村、または地域包括支援センターにご確認ください。申請から結果の通知までは原則30日以内です。
認定を受けていませんが、何か使えますか
民間の家事代行や自費ヘルパーは認定がなくても利用できます。また市区町村によっては、基本チェックリストによる判定で、認定を受けなくても介護予防事業や生活援助の一部を使える仕組みを設けています。運用は市区町村ごとに異なるため、地域包括支援センターにご確認ください。
初回の立ち会いに行けません
事業者によって、不在でのサービス開始を認めているところと、開始時と終了時の在宅を求めるところがあります。あわせて、鍵の受け渡し方法、緊急時の連絡先、作業報告の形式を契約前に確認しておいてください。親が在宅できるなら、初回だけ親に立ち会ってもらう方法もあります。
実家が対応エリアに入っているかわかりません
事業者ごとに対応エリアが大きく違います。同じ県内でも市によって対象外になることがあるため、事業者名ではなく実家の市区町村名で確認してください。当サイトの比較ページでは、対応エリアもあわせて整理しています。

まずは実家が対応エリアかどうかから

対応エリアと、交通費まで含めた月額の総額を並べています。

家事代行の料金比較を見る

出典

本ページは公的機関および各事業者が公表している資料をもとに作成していますが、専門家の監修は受けていません。介護保険の制度内容や自己負担額、市区町村ごとの運用、各事業者の料金やサービス条件は年度によって変更される場合があります。申請や契約の前に、お住まいの市区町村の窓口、地域包括支援センター、各事業者へ必ずご確認ください。仕事と介護の両立に関する制度の適用については、勤務先または都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へお問い合わせください。

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